日本語なまり

今回のテーマは「日本語なまり」。
みなさんは英語を話す時、自分や他人のなまりがどのくらい気になりますか?
子供の頃から、カタカナ英語(カタカナをそのまま読んでいるような英語)は恥ずかしい、なまりのない英語をしゃべりたい、と思っていました。でもいくら練習しても「そんな変なしゃべりかたするアメリカ人いないよ」と笑われる始末。結局、ボソボソと妙にこもった、聞き取りにくい英語を話すクセがついてしまいました。
坂本龍一の『戦メリ』の英語は聞き取りにくい。ボソボソ発音して聞き取れない
それに対して、この映画に出てくる、たけしや下官たちは思いっきりカタカナ英語だったんですよね〜。教養のある人はボソボソ英語、無教養な人はカタカナ英語、みたいな対比がありました。

ちなみにこの映画の坂本さんの英語は、ネイティブの人によると、すごく聞き取りにくいらしいです。そう聞いて最初は驚きましたが、実は、自分にも思い当たるフシが・・・。
Sophiaと言ったつもりでも、sphereに聞こえてしまうことも
ボソボソ英語のせいで、こんな風に子供に発音を直されたり、人に何度も聞き直されることもしょっちゅう。「だったら、最初っからカタカナで、ソフィアって言えば良かった!」

さて、本題の日本語のなまり(カタカナ英語)に戻って。
日本語なまりははずかしい、という私の思いを大きく変える人物がいました それは、任天堂の岩田聡前社長
今は亡き、岩田社長。実はニンテンドーダイレクトで、世界中のファンや関係者に向けて、英語でも「直接」プレゼンテーションをされていたこと、ご存知ですか?おそらく日本の社長さんの中で、一番たくさんの人に英語でコミュニケーションした人物かと思います。でも彼の英語を初めて聞いた時は、本当にびっくりしました!
「ディス イズ サトル イワタ フロム ニンテンドー」 きゃー めっちゃ カタカナ英語!
天才プログラマーにして、素晴らしい経営者でもある岩田社長が、まさかのカタカナ英語!!私が真っ先に思ったのは
  1. 海外の人たちは、こんな英語を話す社長をバカにするだろう。
  2. どうしてレジー(アメリカ社長)か誰か、英語のできる人に代わってもらわなかったのか。せめて通訳してもらえばよかったのに!
  3. どうしてわざわざ人に笑われるようなことをするんだろう。
・・・でした。

でもそれが自分の間違いだと気がつくのに、時間はかかりませんでした。プレゼンテーションの場は、ただ情報を流すだけじゃない。良いニュースも悪いニュースも変わることなく自分が矢面に立って、情熱を持って真摯に語る、そんな岩田社長を見ると、みんなファンになってしまうのです。私もあっという間に、英語のなまりより、岩田社長の存在そのものに魅せられていました。
さようなら ありがとう 岩田さん!
岩田社長が2015年に亡くなった時、世界中の大勢のファンが涙したのを私は忘れません。その時に生まれた、たくさんのファンアートや Thank you カードも、全く不思議ではありませんでした。そして社長亡き後のニンテンドーダイレクト。どんなにきれいな英語でプレゼンテーションされても、岩田さんがいないとこんなにさみしいものかと、がく然としました。

「英語じゃない。結局は人」

人はなまりを聞いているんじゃない。見る人がみれば、その人となりが伝わるんだ。そして自分はそれまでカタカナ英語を話す人を、ただなまっているというだけでバカにしていたことに気がつきました。
他の人がなまってるのを馬鹿にすると、自分が鈍っていることに耐えられなくなって、余計に英語が話せなくなる悪循環に
なのでみなさんも、他の人のなまりには優しい気持ちでいることが英語上達のポイントかもしれません。私もカタカナ英語を見習って、クリアで聞きとりやすい英語を話せるように頑張りたいと思います。(それから、何かうまくいかない時に「どうせ自分はなまってるから」と「なまりのせい」にして逃げないように、と思う今日この頃です。)